「水五訓」検証
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水五訓(水五則)は以下の5項目からなる人生訓である。
一、自ら活動して他を働かしむるは水なり
一、常に己の進路を求めて止まざるは水なり
一、障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり
一、自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるの量あるは水なり
一、洋々として大洋を充し発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霰と化し疑っては玲瓏たる鏡となり而も其性を失はざるは水なり
その由来・作者については黒田如水、王陽明など諸説あったが実際の所はどうなのよ?という検証。と言っても高島俊男氏による詳しい調査があるので実質その本の紹介である。
(2022年4月6日追記:次世代デジタルライブラリーにより独自調査開始)
京都府立医科大学耳鼻咽喉科教室 編『開講二十五週年記念誌』、京都府立医科大学、1932年10月28日発行
研究室には誰の筆であるか水五則と云ふのが掲げてある。
一、自ら活動して他を動かしむるは水なり。
二、常に己の進路を求めて止まざるは水なり。
三、障害にあひ激してその努力を百倍し得るは水なり。
四、自ら潔ふして他の汚水を洗ひ、清濁合せ容るるの量あるは水なり。
五、洋々として大洋を満し、發しては蒸氣となり雲となり雨となり、處を變じ霰と化し、凝つては玲瓏たる鏡となり、而もその性を失はざるは水なり。
この小さな部屋から、素晴らしい論文の多くが生み出されたのもこの心境がある爲ではないであらうか。
(51頁)
研究室に掲げられている「水五則」の文面を引用している。
高島俊男『お言葉ですが…別巻1』、連合出版、2008年5月25日第1刷、2008年6月5日第2刷
水五訓の謎(1)
水五訓の謎(2)
日本河川協会の役員らしい人から質問を受けて調査し、雑誌『キング』昭和4年2月号に掲載された「繪入教訓 水五則」がいちばん始めであり、大野洪聲がその作者であると結論付けた。作者とされている黒田如水や王陽明からアプローチするのではなく現代のどの本に載っているか?どのような人間が「水五訓」を知っているか?など現在確認できる所から着手し、徐々に過去に遡っていく手法が詳しく書かれている。
『河川』2009年7月号、日本河川協会
松田芳夫「"水五則"、その由来について」
日本河川協会副会長(2009年当時)松田芳夫による寄稿文。高島俊男氏『お言葉ですが…別巻1』の一文「河川協会というところにたのまれて話をしたあと、役員らしい人から突然質問された。」にある『役員らしい人』とは彼の事である。