「月が綺麗ですね」検証

夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したとされる都市伝説の検証。各種資料を当たっていると…

『奇想天外』1977年11月号、奇想天外社、1977年11月1日発行

豊田有恒『あなたもSF作家になれるわけではない』 【6】翻訳の時代VI

夏目漱石が、英語の授業のとき、学生たちに、I love you.を訳させた話は、有名です。学生たちは、「我、汝を愛す」とか、「僕は、そなたを、愛しう思う」とかいう訳を、ひねりだしました。「おまえら、それでも、日本人か?」漱石は、一喝してから、つけくわえたということです。「日本人は、そんな、いけ図々しいことは口にしない。これは、月がとっても青いなあ――と訳すものだ」なるほど、明治時代の男女が、人目をしのんで、ランデブーをしているときなら、「月がとっても青いなあ」と言えば、I love you.の意味になったのでしょう。 (4-5頁)
「あなたもSF作家になれるわけではない」は奇想天外社発行のSF雑誌『奇想天外』1976年4月号から1979年3月号にかけて連載された豊田有恒のSFエッセイである。1977年11月号掲載分では海外作品を日本語へ訳す事が難しい事の例えとして夏目漱石とI love you.の話が引用されている(「月が綺麗ですね」ではなく「月がとっても青いなあ」という形だが)。現時点(2016年5月26日)では豊田有恒のこのテキストが最古の事例である。『有名です』と書かれているだけで誰から聞いたとかどこで読んだとかの説明は無い。

『翻訳の世界』1978年5月号、日本翻訳家養成センター、1978年5月1日発行

平土間から見たシェイクスピア

つかこうへい 小田島雄志先生は白水社で『シェイクスピア全集』を翻訳なさってるわけですけど、いま、何巻までいってるんですか。

小田島 七巻のうち、間もなく五巻が出るところ。本数で言うと、三十七本のうち二十五本済んだところ。あと十二本。

つか 日本では坪内逍遥さんがやって・・・・・・。

小田島 個人での全訳は坪内逍遥一人だろうね。筑摩書房から分担訳の全集は出てる。個人では、あと福田恆存さんが二十本近くやっている。

つか 何年で完結のつもりですか。

小田島 ぼくは七年と言ったんだけども、白水社は五年と言って、間をとって六年かなと思ってるんだ。

つか 今のシェイクスピア劇の大体八割か九割方、小田島さんの訳が使われてますよね。

小田島 いろいろな演出家と翻訳者の或る関係‐使いたい、あるいは使いなれた言葉というのがあるよね。だから、俳優座で千田是也さんがやるときは三神勲訳だし、「昴」とか家高君が自由劇場でやるときには福田恆存訳でね。

つか ぼくもよく知らないんですけど、翻訳の苦労っていいますか、古くは夏目漱石がI love youはどう訳せるかって言ったという有名な話がありますよね。生徒たちがそれは「愛してます」って訳すると言ったら、夏目漱石が教壇からばかやろうとどなりつけて、「月がとっても青いから」って訳すのだと言った話がありますけど、そういう翻訳のリアリティーっていいますか、それは、時代とともにいろいろ変わっていってるんでしょうね。だから、『シェイクスピア全集』でも小田島さんが翻訳しようと思い立ったっていうのは、つまり、小田島さん自身は、福田さんの訳にしても坪内逍遥さんの訳にしてもどっか違和感があるんじゃないか、また世間的に違和感があったんじゃないかということで、新しくやってみようみたいな動機なわけなんですか。
『翻訳の世界』1978年5月号は日本シェイクスピア入門特集が組まれていて、つかこうへいと小田島雄志の対談「平土間から見たシェイクスピア」はその特集の一環である。この対談の中でつかこうへいは翻訳の難しさを語る際に夏目漱石とI love you.の「有名な話」を持ちだした。但し「月が綺麗ですね」ではなく「月がとっても青いから」となっている。

小田島雄志『珈琲店のシェイクスピア』、晶文社、1978年9月30日初版、1979年2月20日3刷

珈琲店のシェイクスピア

平土間から見たシェイクスピア

つかこうへい 小田島雄志先生は白水社で『シェイクスピア全集』を翻訳なさってるわけですけど、いま、何巻までいってるんですか。

小田島 七巻のうち、間もなく五巻が出るところ。本数で言うと、三十七本のうち二十五本済んだところ。あと十二本。

つか 日本では坪内逍遥さんがやって・・・・・・。

小田島 個人での全訳は坪内逍遥一人だろうね。筑摩書房から分担訳の全集は出てる。個人では、あと福田恆存さんが二十本近くやっている。

つか 何年で完結のつもりですか。

小田島 ぼくは七年と言ったんだけども、白水社は五年と言って、間をとって六年かなと思ってるんだ。

つか 今のシェイクスピア劇の大体八割か九割方、小田島さんの訳が使われてますよね。

小田島 いろいろな演出家と翻訳者の或る関係‐使いたい、あるいは使いなれた言葉というのがあるよね。だから、俳優座で千田是也さんがやるときは三神勲訳だし、「昴」とか家高君が自由劇場でやるときには福田恆存訳でね。

つか ぼくもよく知らないんですけど、翻訳の苦労っていいますか、古くは夏目漱石がI love youはどう訳せるかって言ったという有名な話がありますよね。生徒たちがそれは「愛してます」って訳すると言ったら、夏目漱石が教壇からばかやろうとどなりつけて、「月がとっても青いから」って訳すのだと言った話がありますけど、そういう翻訳のリアリティーっていいますか、それは、時代とともにいろいろ変わっていってるんでしょうね。だから、『シェイクスピア全集』でも小田島さんが翻訳しようと思い立ったっていうのは、つまり、小田島さん自身は、福田さんの訳にしても坪内逍遥さんの訳にしてもどっか違和感があるんじゃないか、また世間的に違和感があったんじゃないかということで、新しくやってみようみたいな動機なわけなんですか。 (236-237頁)
『珈琲店のシェイクスピア』には『翻訳の世界』1978年5月号に掲載された対談が収録されている。

『アイ・ラブ・ユー・ブック』、工作舎、1981年9月20日発行

アイラブユーブック

対談 山下洋輔VS椎名誠

椎名 この間、喫茶店にいたんですよ、アイラブユー、って言ってる奴が。

山下 マジメに?

椎名 もう、マジメに。俺、ふざけて言ってるのかと思ったら違うの。英語のヘタな外人だろうと思って振り向いたら、これが日本人。チンケな男だけどね、喫茶店の片すみで、マジメに女をくどいているんだよね。アイラブユーって言って。もう俺なんか、即座になぐりたくなったんだけど……まあこらえましたけど。いるんだよねえ、ちゃんと、アイラブユーなんて言えるやつが。

山下 おかしいですねえ。

椎名 アイラブユー、っていうのは、愛と全然、飛び離れちゃって、違うところにあるんじゃないですかね。気持ちいいとか、もっと動物的な言葉になっちゃってるんでしょうね。だから許してやったけどね。だってねえ、ふつう言わないよ、まともな神経している男だったら、日本語でだって、「愛してる」なんていわないでしょう。

山下 言いませんね。これは何ていうかといいますと、黙ってソッポを向いて、「花が咲いているね」と一言いえば、分るわけです。これで分らなかったら……まあ、女も鈍感だから、「鳥も鳴いてるね」と。(笑)

椎名 そうです、そうです。(笑)

山下 これでもまだ分らなかったら、「月がきれいだな」と。それでもダメなら、「星が輝いているね」、いや、輝くなんて言ったらいかんな。「星も、ある」と。それぐらいでだいたい分らなきゃ、女もマズイんじゃないですか。

椎名 ええ、その辺はもう、ダメ押しでね。(37-38頁)
この本に収録されている山下洋輔(音楽家)と椎名誠(エッセイスト)との対談中に「愛してる」意味としての「月がきれいだな」が出てくる。夏目漱石の名前は出ていないし翻訳の話でも無いが参考までに引用する。この対談中で「月がきれいだな」は「花が咲いているね」「鳥も鳴いてるね」に続く第3候補として挙げられている。

椎名誠『男たちの真剣おもしろ話』、実業之日本社、1983年2月15日初版第1刷発行、1983年4月15日初版第5刷発行

男たちの真剣おもしろ話

まともな神経している男なら、「愛してる」なんていわない

『男たちの真剣おもしろ話』は椎名誠の対談集である。1981年発行『アイ・ラブ・ユー・ブック』掲載の山下洋輔(音楽家)との対談が『まともな神経している男なら、「愛してる」なんていわない』というタイトルで収録されている。内容については『アイ・ラブ・ユー・ブック』(工作舎、1981年9月20日発行)を参照

S・I・ハヤカワ著、大久保忠利訳『思考と行動における言語 原書第四版』、岩波書店、1985年2月25日第1刷発行

思考と行動における言語

6 社会的結びつきの言語

われわれは、「またいらっしゃい」と言っても、お客が二度とこないようにとの希望を示すこともできる。また若い婦人と散歩をしている時に、彼女が、「いい月ねえ」と、言ったら、その調子で、気象学的観察をしているのか、それとも接吻してもらいたがっているのかがわかる。(89頁)
『思考と行動における言語』はアメリカ人の言語学者によって書かれた本であり、「夏目漱石」と「I love you.」の話はこの本には出てこないが、月をほめる事と愛を関連付けた喩え話が出てくるので参考までに引用する。なお、この喩え話において日本は一切関係が無い。

豊田有恒『あなたもSF作家になれるわけではない』、徳間書店<徳間文庫>、1986年9月15日初刷

あなたもSF作家になれるわけではない

第四章 翻訳の時代

夏目漱石が、英語の授業のとき、学生たちに、I love you.を訳させた話は有名です。学生たちは、「我、汝を愛す」とか、「僕は、そなたを、愛しう思う」とかいう訳を、ひねりだしました。「おまえら、それでも、日本人か?」漱石は、一喝してから、つけくわえたということです。「日本人は、そんな、いけ図々しいことは口にしない。これは、月がとっても青いなあ――と訳すものだ」なるほど、明治時代の男女が、人目をしのんで、ランデブーをしているときなら、「月がとっても青いなあ」と言えば、I love you.の意味になったのでしょう。(230頁)
SF雑誌『奇想天外』連載のSFエッセイをまとめた本(1979年)が文庫化された(1986年)ものから引用文

『言語生活』1987年4月号、筑摩書房、1987年4月1日発行

うまい恋文といい恋文

吉原幸子「うまい恋文といい恋文」

日本の男性は特に愛情表現が下手だと言われている。最近もどこかで見かけたエピソードに、<I Love Youという言葉を学生が「我汝を愛す」と訳したら、夏目漱石先生が誤訳だ、と訂正された。「そりゃあ君、″月がきれいですねえ″と訳さなきゃいかんのだよ」>―というのがあって、さすがに批評的ジョークだと感心したところだ。(53頁)
1987年4月号は「恋を語ることば」特集。その特集内に吉原幸子の「うまい恋文といい恋文」というコラムがあり、その中で『最近もどこかで見かけたエピソード』として夏目漱石とI love you.と「月がきれいですねえ」の話が引用された。「夏目漱石」と「I love you.」と「月がきれいですね」の三要素が揃った最古の事例である。

『婦人公論』2001年2月7日号、中央公論新社、2001年2月7日発行

つかこうへい「人間関係の摩擦熱-ぶち当たって傷つき、這い上がれ」

韓国は軍隊がありますから、イエス、ノーが、はっきりしてる。軍隊のある国の人たちは決断が早いですよ。早急に「愛してる、愛してない、どっち」というね。表現もラブとウォントとライクの三つぐらいしかないですから。日本はというと、夏目漱石が松山で先生やってたときに、「アイ・ラブ・ユー」を訳すとき、「私はあなたを好きです」じゃなく、「月がとっても青いから」と訳した。日本では、「好きです」なんて言わないんだ、と。その曖昧さがけっこう心地よかったりするんで、韓国の「どうなんだ!」は、正直ちょっとしんどいですね。
(52頁)
『翻訳の世界』1978年5月号のつかこうへい・小田島雄志対談の時に出たのと同じく「月がとっても青いから」との文言となっている。

佐藤健志『未来喪失』、東洋経済新報社、2001年12月6日発行

未来喪失

現在の解体/アニメ化された現実(II-2)

どの文化にも、劇的な感情表現をリアルに感じさせるための独自の約束事の体系、すなわち枠組みが存在するのである。そして日本人は、日本文化の規定する感情表現の枠組みにしたがわないかぎり、劇的な感情を説得力をもって表現することはできない。かつて夏目漱石は、「アイ・ラブ・ユー」の正しい日本語訳は、「僕はあなたを愛している」ではなく、「月がとっても青いなあ」だと喝破したが、ここで彼が言わんとしたのも、「アイ・ラブ・ユー」という英語が表す感情を、当時の日本文化の枠組みで適切に表現するには、「月がとっても青いなあ」なる言葉を選ばねばならないということであろう。
(168頁)
この文章の初出は(「アニメ化された現実」『Japan Echo』1997年12月号)。「~だと喝破した」と自明の事実・前提として書いているので出典は提示されていないが、「月がとっても青いなあ」という形なので豊田有恒の系統と思われる。

英語メーリングリスト「HONYAKU ML」への2000年9月9日の投稿によると、2年前(1998年)のJAT(日本翻訳者協会)meetingにおいて佐藤健志が講演し、その中で"月が青い"話を引用していたのを覚えている…との事。

『クイズ!知ってどーする!?』、ネコ・パブリッシング<ケータイBOOKS>、2005年8月31日初版第1刷発行

クイズ!知ってどーする!?

夏目漱石が英語教師時代に教えた"I love you"の翻訳とは?

問題
夏目漱石が英語教師時代に教えた"I love you"の翻訳とは?

1.死んでもいい
2.いとおしい
3.月が綺麗ですね

答えは3
夏目漱石は、英語教師時代"I LOVE YOU"を"貴方を愛しています"と訳した生徒にこう言った。「そんな日本語は存在しない。"I LOVE YOU"が出てきたら"月が綺麗ですね"とでも訳しておきなさい。日本人にはそれで伝わるから」と生徒たちに教えた。ちなみに、"I LOVE YOU"を日本で最初に訳したのは二葉亭四迷。ツルゲーネフの小説『アーシャ』に出てきたそれを『死んでも可(よ)いわ』と訳したとか。
(85-86頁)
『クイズ!知ってどーする!?』は携帯電話向けサービス「EZチャンネル」で配信されていた同名の番組を書籍化したものである。その番組の2004年3月30日配信分で「月が綺麗ですね」ネタが取り上げられた。配信当時の2chスレ→【WIN】クイズ!知ってど~する!? 2問目【EZチャンネル】。なお、クイズで夏目漱石とともに名前が挙がっている二葉亭四迷については「死んでもいいわ」検証ページで調査を行う予定

『ストロベリー・パニック』、バンダイチャンネル、2006年配信開始、2015年6月19日確認

第13話「潮騒」

光莉「離してください!」
要「離せないな。なぜなら…月がとっても綺麗だから。」
光莉「え?」
要「ふふ、夏目漱石は天才だ。彼はある英文をそんな風に翻訳したんだよ。I Love You」
光莉「(喘ぎ声)」
要「わかるよね?」
光莉「(怯えた声)」
『ストロベリー・パニック』は2006年にUHF局等で放映された百合アニメである。不特定多数の人が見るアニメで、しかも女の子(光莉)が女の子(要)に襲われるインパクトあるシーンで夏目漱石の名前が使われた事から当時のアニメ感想サイトでもそこそこ言及されている。夏目漱石説拡散の一旦を担ったのは間違いないと思われる。

『神戸新聞』2007年1月26日付、神戸新聞社

正平調(1面社説)

話の中で横文字を好んで使う人がいる。当人にとって、ごく自然な話し方かもしれないが、耳障りなことが多い。ごまかされているような気持ちにもなる◆安倍晋三首相もかなりの横文字派だ。八千三百一文字だった昨年九月の所信表明演説では、カタカナ言葉が百九回あった。「技術革新」を強いて「イノベーション」、「開かれた」でいいものを「オープンな」。こうまで多いと、正直、鼻につく◆小泉さんは横文字にうるさかった。あまり使わないよう閣僚に指示していたが、安倍さんはどうか。塩崎官房長官が会見で、「インテリジェンス(機密情報)」などを多用していたのを見れば、そんな指示もないようだ。だが、それでは困る◆きょうの国会で首相の施政方針演説がある。内閣の基本姿勢を明らかにするのが施政方針である。教育再生、格差是正など重要課題が多い国会だ。分かったようで分からないカタカナ言葉は厳に慎しみ、分かりやすい言葉を心がけてほしいものだ◆横文字で人は感動しない。揺さぶられるのは味わい深い日本語だ。「アイ・ラブ・ユー」を夏目漱石は「月がとっても青いから」、二葉亭四迷は「私、死んでもいいわ」と訳したそうだ。原文と訳文のどちらが味わい深いか、言うまでもない◆もっとも、訳し方次第で情勢が変わる。「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、分かりやすく「残業代ゼロ制度」と意訳されて逆風が強まった。しかし安倍さん、大事な国会は分かりやすい日本語でいこう。それも、美しい日本語で。
神戸新聞の社説で安倍総理の横文字使用を批判する為に夏目漱石が「引用」された。どこから得た情報かは明記されていない。

『読売新聞』2007年3月18日付、読売新聞社

茂木健一郎「よむサラダ」

漱石というとシリアスなイメージがあるが、洒脱な側面も備えている。「アイ・ラブ・ユー」の訳は漱石によると「月がきれいですね」だったそうである。日本語には「愛する」という概念がないのだという。「月がきれいですね」とは何とも風流ではないか。最近は、愛がいささか安売り気味である。
(21面)
茂木健一郎がどこからこの話を知ったのかは明記されていない。

茂木健一郎 クオリア日記: 月がキレイですね、2007年9月26日

I love youの日本語訳を
「月がキレイですね」
としたのは夏目漱石である。
半年前の「読むサラダ」では伝聞だった話がブログ記事では断定になっているので、茂木健一郎はこの話を事実と確信したものと思われるが、その根拠については明記されていない。

『人生が変わる1分間の深イイ話』、日本テレビ、2008年2月25日放映

夏目漱石のI love you

夏目漱石は文豪として名を馳せる前、英語の教師をしていたころ…

漱石「誰か、これを訳せる者は…」
生徒「はい!“私はあなたを愛しています”と訳します。」

すると…

漱石「違う!日本男児たるもの、そんな言葉は言わないものだ!」
生徒「では、いったい何と訳すのですか…?」

漱石「君といると月が綺麗ですね。」
生徒「おぉ…」

これが夏目漱石の“I LOVE YOU”である。
『人生が変わる1分間の深イイ話』レギュラー放送第1回目で夏目漱石のI love youが取り上げられた。「君といると」が頭にくっついている珍しいパターンである。→番組サイトのバックナンバー(Internet Archive)

川上徹也『キャッチコピー力の基本』、日本実業出版社、2010年8月1日初版発行、2016年2月1日第12刷発行

キャッチコピー力の基本

hint50 「アイ・ラブ・ユー」を別の言葉で言い換える

夏目漱石も、英語の先生をしていたとき、授業で「アイ・ラブ・ユー」を「我、君を愛す」と訳した生徒に対して、次のように言ったと伝えられています。「日本語にそんな言葉はない。『月がキレイですね』とでも訳しておけ。日本人ならそれで通じる」と。あなたなら、「アイ・ラブ・ユー」をどんな言葉に置き換えますか?
(149頁)
この本の巻末では208個の「参考文献および雑誌・書籍出典」が挙げられているが、上記の夏目漱石の逸話に関する出典は含まれてはいない。

『グラスリップ』、バンダイチャンネル、2014年配信開始、2015年8月31日確認

第9話「月」

透子(とうこ)「だって、月きれいだよ」
祐(ひろ)「あっそれならわかる。その言い方って告白になるらしいよ」
透子「告白!?」
祐「いやぁー最近ちょっと調べたんだよ。したらさ夏目漱石が英語の教師をしていたときにアイラブユーの訳し方をそう教えたんだって」
透子「夏目漱石?祐くんが?」
祐「なっ、なにか?」
透子「あー、ふううん?なんでもないけどフフフ…でもなんで?」
祐「って、そのほうが風情があるっていうか…」
透子「それで伝わるのかなあ…?」
祐「あー…伝わるよきっと。愛があれば」
透子「ロマンチストだったんだね、夏目さん。」
『グラスリップ』はP.A.WORKSによる2014年放映のTVアニメである(全13話)。第9話の綺麗な月の出た印象的なシーンで夏目漱石が「引用」された。

손호영『손호영의 로하우 LAW HOW:20대 판사의 '우리가 법을 공부하는 이유'』、동아시아、2014年11月17日初版1刷発行

ソン・ホヨン『ソン・ホヨンのローハウ LAW HOW:20代判事の"私が法を学ぶ理由"』、東アジア、2014年11月17日初版1刷発行[Google翻訳を一部リライト]

Part2 Chapter4:아름다움을 법이 판단할 수 있을까

Part2 Chapter4:美しさを法が判断することはできるか[Google翻訳を一部リライト]
셋째,그 시대의 건전한 사회통념에 비추어 판단한다. 일본 작가 나쓰메 소세키는 'I love you.'를 '달이 아름답네요 月が綺麗ですね.'라고 번역했다고 한다.20세기 초 일본의 연애관은 그렇게 보수적이고 완곡했다.

第三に、その時代の健全な社会通念に照らして判断する。日本の作家夏目漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と翻訳したという。20世紀初め、日本の恋愛観はそのように保守的で婉曲であった。[Google翻訳を一部リライト]
(190頁)
韓国で書かれた法律の本で、20世紀初めごろの日本の社会通念を説明するために、「月が綺麗ですね」の逸話を用いている。この本の出版年から、2014年かそれ以前に韓国に逸話が伝わっていたものと思われる。

脚本:輿水泰弘、徳永富彦、太田愛、真野勝成、山本むつみ、藤井清美、池上純哉、ノベライズ:碇卯人『相棒 season13 中』、朝日新聞出版<朝日文庫>、2015年11月30日第1刷発行

相棒

第十二話「学び舎」

右京が静かに言った。
「こんな伝説のような話があります。英語教師だった時の夏目漱石のある授業にまつわる話です。英文の中に、"I love you"という言葉があった。生徒は"我君を愛す"と訳した。ところが漱石は、"愛なんて私たち日本人は言わないだろう。そこは月がきれいですね、とでも訳しておきなさい"と言った。文豪でなくては思いつかない素晴らしい訳だと後にこの話は伝えられています」
そこは専門分野、素人考えは受け入れられない、と舞は見下したように否定した。
「その話はあくまで伝説です。どこかに、それを証明する記述があるわけじゃないんです」
ところが右京は、内ポケットからビニール袋に入った古いハガキを一枚取り出し、思いがけない反論をした。
「これがその伝説を裏づけるものです…
(294-295頁)
夏目漱石の「I love you」は出典不明の伝説であるが、それを裏づける証拠がもし存在したとしたら…というお話。

『まんがタイムきらら』2016年11月号、芳文社、2016年10月8日発売

異識『あっちこっち』

姫「皆さん、月が綺麗ですよー」
真宵「えっ」
姫「ど、どうしました?」
真宵「姫っち大胆……(ぽっ)」
姫「ふぇえ!?」
真宵「4人同時に告白だなんて」
姫「いつしちゃったんですか!?しちゃったんででか私!?」
つみき「夏目漱石の残したフレーズ」
姫「え、あ あ!!そそそそ、そういう意味で言ったのではなくてですね!普通に綺麗だなーと思っただけでして!で、ですから告白とかではなかったりししします……で、でもみなさんの事を大好きなのは本当ですのであのその」
(43頁)
お月見の夜、春野姫が他の4人(片瀬真宵、御庭つみき、音無伊御、戌井榊)に「皆さん、月が綺麗ですよー」と他意もなく発言したら片瀬真宵が告白の言葉と誤認するネタ。その後の御庭つみきの指摘に対する姫の反応を見ると「伝夏目漱石としての月が綺麗」自体は知っていたがその時は気付かなかった様子。

著者:望月竜馬、イラスト:ジュリエット・スミス『I Love Youの訳し方』、雷鳥社、2016年12月24日第1刷発行

I Love Youの訳し方

まえがき

日本でもっとも有名な文豪のひとり、夏目漱石。旧千円札の肖像だったことでも知られています。彼はかつて、英語教師をしていました。ある日、生徒のひとりが"I Love You"を「我君ヲ愛ス」と訳しました。すると漱石は「日本人がそんな台詞を口にするものか。『月が綺麗ですね』とでも訳しておけ。それで伝わるものだ」と言った、そんな逸話があります。同様に、小説家の二葉亭四迷が"I Love You"を「死んでもいいわ」と訳した話も、漱石との対比としてよく挙げられます。いずれも都市伝説のようなもので、彼らが本当にそんなことを言ったのかどうか定かではありません。 (2頁)
この『I Love Youの訳し方』という本は、色々な小説・誌・手紙から選りすぐった100通りのI Love Youの出典を紹介する本である。ただ、まえがきで挙げられた夏目漱石と二葉亭四迷については「都市伝説のようなもの」と踏まえた上での紹介なので出典は特に書かれてはいない。

『まんがタイムスペシャル』2017年5月号、芳文社、2017年5月22日発行、2017年3月22日発売

近衛桜月『2DKに弟嫁と』

雫「あ!見てください満月ですよ!」
雫の同僚「おーホントだー 月…か」
雫「?」
雫の同僚「雫さん 月が 綺麗ですね」
(間)
雫「漱石!」
雫の同僚「正解!」
(103頁)
「主人公の雨宮雫は国語教師」「月が綺麗ですね」「漱石」と来れば…後はわかるな?という感じで描かれているので出典は特に示されてはいない。
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